症例1:デンチャースペース配慮不足の症例

入れ歯が外れやすいという方の入れ歯を見てみると、基本的な形が守られていないことが多くあります。例えば、入れ歯が小さすぎると、口の周りの筋肉に皺がよったり、筋肉に張りがなく、頬がこけてみえます。

症例1の患者様は、入れ歯が小さすぎることにより、口元が痩せて見え、口の周りの筋や唇のサポートが得られていません。実際に小さな入れ歯の周りに、印象材を流してみると、実際のデンチャースペースよりこんなにも小さな入れ歯だったことがわかりました。

保険義歯との違い保険義歯との違い

上下顎同時に型採りを行い、総入れ歯を新しく作ったものがこちらです。口元が若返り、顔全体と調和していることがわかります。

症例2:顎の吸収の著しい症例

総入れ歯を難しくする症例の1つに極度に顎の骨が吸収していることがあります。多くの歯科医師が苦慮しています。そのような患者様は、自分の顎の形が悪いのが原因と、あきらめの感が強いです。

骨が吸収し、薄く平らな顎は入れ歯を支えることが難しく、さらにオトガイ孔が露出しているほど吸収が進んでいる方は、入れ歯が神経を圧迫し、激しい痛みと唇のしびれを伴うことがあります。このように極度に骨が吸収している場合、上下顎同時に型採りをした精度の高い入れ歯により解決することが可能です。

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症例2の患者様は骨の吸収が大きく、いくつか入れ歯を製作しても痛みに悩まされ続けていました。レントゲン写真を見てみると、骨の吸収が大きく、特に左側においては神経が通る下顎菅が露出寸前まで吸収が進んでいました。

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上下顎同時に型採りを行うことにより、神経が通る下顎菅を圧迫せずに、口の周りの筋肉のサポート、入れ歯が動いて痛みがでないように精度を高めたことにより、入れ歯の痛みは消失しました。

症例3:オーラルディスキネジアの症例

唇や舌の不随意運動であるオーラルディスキネジアは、しばしば総入れ歯の難症例であるといわれますが、上下顎同時に型採りする方法で解決することができます。

症例3の患者様は84歳の女性で、パーキンソン病、ラクーネ型脳梗塞、軽度の痴呆をともなっており、数種類の薬剤を服用しています。このような場合、しばしばオーラルディスキネジアにより唇、舌の不随意運動がみられます。この患者様も舌を前にだす、舌突出型のオーラルディスキネジアで無意識のうちに入れ歯を口の外に押し出そうとしたり、しばしば舌により下顎の入れ歯が外れ落としてしまったりします。

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このような症例では、吸着のよい入れ歯の製作を心がけるとともに、舌で外そうとしてもどこにもひっからないよう、舌側の形態に注意することが大切です。そのために上下顎同時に型採りを行ない、口の周りの筋肉の動きや舌の運動の記録を取り、不随意運動を行っても邪魔にならないような形態にします。

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特にサブリンガルルーム、舌側を十分に延ばし、舌が床の下まで潜り込まないような形態にし、舌の圧力が加わっても入れ歯が動揺しないように、人工歯の舌側は、舌が突出しても入れ歯の表面を滑ってしまう形にします。

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また、舌を前に出すと、顎舌骨筋が挙上し、入れ歯を浮かせてしまうので、後ろの部分は短くする必要もあります。そのためには、口の中の正確な情報を再現できる上下顎同時に型採りする方法が優れています。

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症例4:顎関節に問題がある症例

総入れ歯の患者様でも顎関節や運動制限があり、問題を抱えている方は多くいらっしゃいます。また、総入れ歯を入れている患者様の中には、顎の形が変形をきたしているケースもみられます。

症例4の患者様は83歳の女性で、右側の顎に痛みがあり、口を真っすぐ開くことができませんでした。今使っている入れ歯は下顎の安定が悪く、右側の歯がすり減り、顎関節症がありました。

そこで、まずは痛みを取るために入れ歯の改造を行いました。その際、患者様にとって大切な入れ歯を直接改造するのではなく、コピーデンチャーを製作し、これを修理して治療用の入れ歯を作りました。

顎の関節を正常な状態に戻すためには、顎を下方に牽引する必要があります。そこで、人工歯にレジンを2ミリ盛り足すことによって顎への圧迫をなくし、痛みを解消しました。その後、上下顎同時に型採りをし、シュトラックデンチャーを製作しました。

2ヶ月後、右側の顎関節の動きが改善し、真っすぐ開くことができるようになりました。レントゲン写真でも、関節が顎を圧迫することなく、十分な間隙ができていることがわかります。

症例5:顎の位置に問題がある症例

顎の位置に異常がある患者様もしばしば見受けられます。例えば、長い間入れ歯を使っていることにより、通常では考えられない位置で、奇しくも「噛み合っている」というケースがあるのです。

症例5の患者様の初診の状態は、噛み合わせの高さがあきらかに低く、下顎は左側に偏っていました。レントゲンでも、下顎の位置異常が認められます。横顔のシルエットで下顎がでているように見える原因も「噛み合わせの高さが低いため」であり、骨格自体の問題ではありませんでした。

そこで、上下顎同時の型採りを行って総入れ歯を作った結果、噛み合わせの高さも正常になり、横顔も正常に戻りました。

症例6:入れ歯による顎関節症の難症例

長い間、合っていない入れ歯を使っていることで、噛み合わせのバランスが崩れ、顎関節症を引き起こすことがあります。

症例症例
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症例6の患者様は、右側の顎に痛みがあり、お口を開けると左側にずれて、真っすぐに開けられませんでした。入れ歯は右側に比べて左側の歯が異常にすり減っていました。顎関節のレントゲン写真をみると、左側の関節円板(顎と骨の間のクッションのような部位)が落ちており、顎関節症と診断できました。

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そこで、まず以前作った入れ歯を複製し(コピーデンチャー)、下顎頭を下げて顎がスムーズに動くように右側の噛み合わせを2ミリ上げました。コピーデンチャーで真っすぐお口が開けられるのを確認し、顎の痛みもとれたため、新しく入れ歯を作り直しました。

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上下顎同時に型を取り、KAVOProtar咬合器のPDRInsertを用い、下顎頭を下方に下げて顎がスムーズに動くように調整。顎機能咬合解析システムCADIACSを使い、右の顎が2ミリ下がっていることを確認して入れ歯を完成させました。

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新しい入れ歯では顎の痛みはなく、お口も真っすぐ開けられ、自然な笑顔が見られるようになりました。入れ歯で顎関節がスムーズに動くように誘導させる高度な治療例です。

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症例7:小児麻痺の患者様

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常に口元を動かすため、総入れ歯にとっては非常に難症例となります。
それでも、シュトラックデンチャーで噛み合わせを決め、最後、装着まで治療することができました。

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おわりに

長い総入れ歯の歴史の中で、多くの人が様々な術式を考えてきました。それは、デンチャースペースをどのように再現するか、あるいは、もともとあった歯の位置はどこであるかを捜し求めてきたものです。

頭の骨は様々な関節によって結合されています。歯の噛み合わせも結節であるといえるため、別々に作って適合させるよりも、一体となったものを2つに分ける方がより合理的であり正確です。その点、上下顎同時に型採りし、一体化した情報を咬合器し上下顎の入れ歯を作り、それを合体させたほうがよい結果を得ることができるはずです。

上下顎同時に型採りする方法は、単純で誤差の少ない確実な方法です。また、このシステムの特徴は、入れ歯によって顎関節を守ることも可能なことから、顎関節症の治療にも有効です。

このシステムにより、噛むことに多くの不自由を感じている患者様、また在宅要介護高齢者、脳血管障害の後遺症により麻痺のある患者様にも応用され、福音が得られることを望んでいます。

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